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講義名 道徳理論と指導法
(副題)
開講責任部署
講義開講時期 前期 講義区分 演習
基準単位数 1 時間 0.00
代表曜日 月曜日 代表時限 1時限
校地
科目分類名 道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目
科目分野名 道徳の理論及び指導法
対象学科・年次 2年次
必須/選択 小学校二種免許状 必修

担当教員
職種氏名所属
指定なし◎ 是松 いづみ指定なし

学習目標(到達目標) 道徳理論と指導法の学習目標
教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神を踏まえ、自己の生き方や人間としての生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を育成する教育活動が展開できることを目標とする。
(1)道徳授業において「多目的・多角的に考える」ということがどういうことなのか、そしてなぜそれが必要なのか理解し、説明することができる。
(2)終戦直後の道徳教育から「道徳の時間」の特設に至る経緯について整理し、道徳教育をどのように展開すべきなのか自分なりの考えをもつ。
(3)学習指導要領に示された道徳教育および道徳の内容について、内容構成の考え方を理解するとともに、具体的な指導場面を想定しながら内容の取扱い方を考察することができる。
(4)すべての児童が授業に参加することができるように配慮するための、指導方法の基本的な考えについて理解する。
(5)学習指導案の実際を理解し、導入・展開・終末の道徳授業のイメージをつかんで学習指導案の作成手順をに従って作成することができる。
(6)道徳科の教科書に掲載されている教材を取り上げて分析し、他の学生と意見交換しながら授業を構想することができる。
授業概要(教育目的) 授業概要
道徳の意義や原理等を踏まえ、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育及びその要となる道徳科の目標や内容、指導計画等を理解するとともに、教材研究や学習指導案の作成、模擬授業や授業参観等を通して実践的な指導力を身につける。

なお、本科目は、本学ディプロマ・ポリシー1年次前期の「保育者の役割を理解したうえで、自身の目指す保育者像を描くことができる」に特に関連する。また、教職課程コアカリキュラムの「道徳の理論及び指導法」に該当する科目である。
授業内容 授業内容
「多目的・多角的に考える」ということを具体的に3つの演習を用いて意見交換する。道徳科の授業で物事を多面的・多角的に考えるということは、道徳的問題の捉え方や解決策が一様ではないことを意味しており、「唯一の正解」が存在していないことに気付く演習を仕組んでいる。特に「答えがわかりきっている」と思われがちな小学1年生の教材を用いて模擬授業することで、どのようにすれば子どもの学びとなるかについて工夫してもらいたい。
模擬授業については、3人一組で次の内容を分担する。①道徳学習指導案と学習プリントを作る係②板書計画と黒板に貼るカード類(挿絵・カード)を作る係③授業者(必要に応じてお面やペープサートを作る)と分かれて関わり合いながら研究する。
模擬授業が一つ終わる度に協議会を設け「良かった所」「よくわからない所(疑問点)」「改善すべき所」について授業者からとこども役の学生から発表してもらい協議を深めたい。その中で「考え、議論する道徳」が求められていることが理解でき、今後の道徳の授業のテーマとして大切にして欲しいと考える。

【実務経験】
小学校教諭時代、道徳教育テーマ研究主任 小中連携教育研究発表会での道徳の研究推進委員 福岡市の人権読本「ぬくもり」の執筆者
【講義内容との関連性】
福岡市立西新小学校の時に校内研修のテーマが道徳研究であり6年間研究を行ったり、福岡市の小中連携教育発表時に研究主任、推進委員をしていたため、教職員に向けて数多くの道徳の公開授業を行ってきた経緯から多くの道徳教材を持つ。福岡市立百道浜小学校の時に人権読本「ぬくもり」の執筆を引き受け、その教材は10年経った現在でも福岡市の3.4年生の道徳必修教材としてこどもたちが学んでいる。教育委員会の依頼で7年前から人権教育・道徳教育の研修会講師を引き受けており、毎年400名前後の教職員に研修を行っている。また、小学校1年生から6年生の道徳教材を作り、福岡市内の小学校の教職員研修やこどもへの出前授業を20年間行っているので、その内容についても学生に伝えて行き、道徳教育の課題と展望を示すことができる。
授業計画表
担当教員項目内容予習復習
第1回是松 いづみオリエンテーション
学習の概要
道徳とは①
教科化時代の道徳
8回の授業の概要とともに道徳の理論と指導で学ぶ事を知る。授業での約束事や評価について理解する。
教科化時代の道徳授業のあり方について理解する。
多目的・多角的に考えることの意義を演習で考えて意見を交換することを通してまとめる。
道徳教育の理論と実践の本に目を通し、学ぶことについて大まかに掴む授業プリントの未記入の所に記入し、授業の感想やまとめを記述する。
【授業プリント提出】
第2回是松 いづみ道徳とは②
主体的・対話的で深い学びとしての道徳学習
道徳の役割
主体的・対話的で深い学びとしての道徳学習について理解する。
4つの演習を元に①道徳的な行為選択と主体性②道徳教育と主体性についてまとめる。道徳的な正しさを多面的・多角的に、そして批判的に考察することが対話的な学びとなることに気づく。
教科書P.8~14を読んで、学習することを掴む。授業プリントの未記入の所に記入し、授業の感想やまとめを記述する。
第3回是松 いづみ学習指導要領における道徳教育と道徳科の規定
日常生活における指導
模擬授業の分担決め
学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育と道徳科の関係について理解する。
道徳教育でいう「あらゆる場所で行われる」意味を具体的に挙げて考える。各教科と道徳教育との関わりについてまとめる。
教科書P.39~50を読んで、学習することを掴む。授業プリントの未記入の所に記入し、授業の感想やまとめを記述する。模擬授業分担箇所を資料集め等などから始める。
第4回是松 いづみわが国の道徳教育の歴史
こどもの道徳性の発達
2015年より「特別の教科道徳」(道徳科)になった歴史的変遷を資料をもとにまとめる。①戦前の道徳教育・修身②全体主義道徳教育の時代③教科化・道徳科の時代の特徴を理解する。
幼児期から児童期。それ以降の道徳性の発達を演習を用いて連続的に理解する。
教科書P.19~35を読んで、学習することを掴む。授業プリントの未記入の所に記入し、授業の感想やまとめを記述する。
模擬授業グループで連絡を取り合い、進行状況を確認する。
第5回是松 いづみ道徳教育の指導案の作成例と講師による示範授業①②指導案の各項目のそれぞれの意味と役割について理解する。講師の提示した指導案に照らし合わせながら、示範授業を受ける。
①わたしの妹 咲(小学校4年生教材・自作)*スライドショーによる視覚的工夫
②わたしのともだち(小学校1年生教材・自作)*役割演技を用いた授業
指導案に目を通して、ねらいを掴み展開の流れを知る。
2つの教材を読んで、教材の良さを理解する。
授業プリントの未記入の所に記入し、授業の感想やまとめを記述する。
模擬授業グループで連絡を取り合い、進行状況を確認する。【授業プリント提出】
第6回是松 いづみ道徳学習指導案の作成・教材研究・授業作り道徳学習指導案の各項目に照らし合わせながら、授業ができるように準備をする。授業者は、グループ内で代わりあって授業を行い、修正する。教科書P.69~96を読んで、学習することを掴む。指導案や板書計画、学習プリントの分担を粗々作ってくる。授業プリントの未記入の所に記入し、授業の感想やまとめを記述する
第7回是松 いづみ模擬授業と協議会
①はしのうえのおおかみ
②かぼちゃのつる
③わきだしたみず
模擬授業を行うこと、模擬授業を受けることで具体的な授業をイメージできるようにする。
授業を行って、①よかった点②疑問点③改善点を全員が発表して、今後の授業に生かすためにはどうしたらいいのかをまとめる。
事前にもらった指導案と教材を読み込んでくる。授業プリントの未記入の所に記入し、授業の感想やまとめを記述する
第8回是松 いづみ道徳教育の評価・道徳的価値について
まとめ
「特別の教科道徳」の評価について学習評価(児童)と授業評価(教師)があり、それぞれの意味を理解する。「評価文例」を読んで、評価の記入の方法について学ぶ。道徳的価値について読んでまとめる。教科書P.163~175を読んで、学習することを掴む。道徳の理論と指導法を学習してわかったことやこれからテーマとして考え続けたいことを授業プリントにまとめる。【授業プリント提出】
授業形式 授業では、前もって配布された授業プリントを用いて、演習、ディスカッション、シンクペアシェアを中心に進める。授業プリント提出には、コメントを入れて返却したり、解説プリントを配布したりしてフィードバックを行う。

新型コロナウィルスの感染防止や災害時の非対面授業時のついて
非対面授業の形式について、遠隔授業で行うこととする。非対面授業の可能性が有る場合は、前もって授業プリントを配布しておく。
質問については、メールで受け付けて、返答する。された授業プリントは、コメントを記して返却したり、
評価方法 道徳理論と指導法の評価方法

(1)3回の授業プリント(30%)
第1回授業では、始めに自分の小学校、中学校時代の道徳をどのように捉えていたのかを授業プリントに書き込んで発表する。記憶に残っている授業があったり、当然のことをなぜ勉強するのか意味がわからなかったり、あまり興味がなかったりした事をお互いに出し合いながら、ここを出発点として「道徳とは何か」について学ぶ事を知る。現在の自分の意識に気付いているかを評価する【きづく】
多目的・多角的に学ぶことについては、演習では「本」を題材に「読み物」の他に様々に捉えられることを授業プリントに書き込んで気付けたことを評価する【きづく】

第5回授業では、講師による示範授業を学生はこどもとして受ける。2本のタイプの違う授業を受けて、それぞれに手立てが違うことや発問の方法やタイミングやこどもに伝えるための工夫について気付いたことで評価する【きづく】
示範授業を体験し、学生同士で授業の良かった所や疑問点、あるいは自分だったらと言う視点で行う意見交換で評価する【かかわる】

第8回授業では、最初に道徳教育に感じていた自分の意識と学んだ後での自分の意識の違いを「多面的・多角的」「主体的・対話的」の言葉を用いながら学んだことをまとめた授業プリントで評価する。さらに今後の道徳の授業テーマとして取り組んでいこうとしている事がはっきりしている点で評価する【みがく】

第2回授業、第3回授業 第4回授業 では、必要に応じて発表や感想から授業の理解度や意欲等について評価する。

(2)指導案作成、模擬授業、協議会の参加を評価する(70%)
グループで分担した箇所に積極的に取り組み、他の学生と協力して道徳教育の模擬授業を行えているかを評価する【かかわる】協議会では、様々考え方や意見に気付き、自分にそれを取り入れる視点があるかを評価する【きづく】指導案作成では、指導案の各項目のそれぞれの意味と役割について理解し、指導案作成に活かしているかを評価する。
テキスト 教科書
道徳教育の理論と実践
https://www.minervashobo.co.jp/book/b437056.html
上地完治 編著
ミネルヴァ書房
2023年第3刷発行
毎時間、授業プリントを配布する。
テキストISBN番号 ISBN
978-4-623-08600-9
参考文献 参考書・参考資料等
「考え、議論する道徳をつくる新発問パターン大全集」「道徳教育」編集部編 明治図書
「道徳科 授業構想グランドデザイン」 浅見哲也著 明治図書
「新道徳授業イキイキ 対話型ワークシート題材70 村野聡 保坂 雅幸著 学芸みらい社
「道徳授業の板書作り&板書モデル大全」 「道徳教育」編集部 明治図書
オフィスアワー(授業相談) 授業の前後に授業教室やメールで質問や相談を受けることができる。
学生へのメッセージ 授業について
・前もって教科書を読んで、内容を掴んでおくこと
・授業では、毎時間の課題解決だけでなく「考え、議論する道徳とは」の大テーマも常に意識して授業に臨む
 こと
・授業後には、授業プリントの未記入がないように記入すること

履修上の注意点
・課題プリントについては提出期限を厳守すること
授業用E-mail korematsu@fukuoka-kodomo.ac.jp