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講義名 子ども家庭福祉
(副題)
開講責任部署
講義開講時期 後期 講義区分 講義
基準単位数 2 時間 0.00
代表曜日 水曜日 代表時限 1時限
校地
科目分類名 専門科目
科目分野名 保育の本質・目的に関する科目
対象学科・年次 1年次
必須/選択 養護教諭二種免許状必修・保育士資格必修

担当教員
職種氏名所属
指定なし◎ 山口 祐二指定なし

学習目標(到達目標) (1)子どもの最善の利益に資することを基礎に、どんな子どもや家庭も支援するプロ意識をもつことができる。
(2)困難な問題を抱える家庭の背景を理解し、その立場に寄りそう考え方と姿勢、スキルを身につけることができる。
(3)地域にある様々な機関や個人と連携し、支援を実践する行動力(フットワーク)を培うことができる。
授業概要(教育目的) 教育目標
本講義では、児童福祉法を中心に子ども家庭福祉に関する法律と制度、機関や施設の役割やサービスを把握し、子どもや家庭が何らかの問題を抱えたときに、様々な機関や施設と連携して問題を解決することができる保育士をめざす。

授業概要
子ども家庭福祉の歴史、法律と制度、機関や施設の役割やサービスについて学ぶ。こども家庭庁が創設されこども基本法が制定されて、日本社会が「こどもまんなか社会」を目指す大きな変化のかかで、特に重要な子どもの権利保障に関する考え方がどのように反映され、地域社会に具現化されるかについて詳しく学ぶ。
授業内容  児童相談所、子ども家庭支援センター、家庭裁判所で実務している教員より、子ども家庭支援の実際を学ぶ。
 子育てをとりまく環境は急激に劣弱化している。核家族化が進み、ひとり親家庭など孤立した家族の中で保護者の不安は増大し、貧困、虐待、ネグレクト、いじめ、不登校、引きこもり、自死など問題は広がり深刻化を増している。保育士としてそれぞれの問題を身近な具体的なものとして認識し、実際にどのように対応するのか身につけられるように、講義を進める。
なおこの教科は、ディプロマポリシーの1年次後期の「保育者としての気づきを感じとり、様々なこどもの姿を捉えることができる(きづく)」に位置付けられています。
授業計画表
項目内容予習復習
第1回オリエンテーション児童相談所、子ども家庭支援センター、家庭裁判所で子ども家庭福祉(児童福祉)の実務に当たっている講師の自己紹介をとおして、本講義の具体的な内容の実際の様子を把握する。「大切なもの」ワークショップをとおして、自分のまわりにある環境を確認し、これから学んでいく貧困、虐待等、社会的養護が必要な子どもや家庭をイメージできるよう講義する。教科書「はじめに」を読んで、これから学ぶ子ども家庭福祉がどのような講義なのか、概観する自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第2回子ども家庭福祉の状況と基本的考え方日本の少子高齢社会の実際の姿を解説する。社会の根幹である人口問題に日本はどのように対処してきたのか、その結果日本の社会がどのように劣弱化してしまったのか。
世界でも下位を続ける男女不平等、OECD諸国の数分の1の子育て関係予算、長い間子どもや家庭をネグレクトしてきた日本社会は、こども家庭庁を創設して、これからどの方向に進むのか講義する。
自分の家庭を数世代をさかのぼって、人数の構成や生活などの変化について考えてみる。結婚したりきょうだいがたくさんいたりする親や祖父母の世代について自学学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第3回子どもの権利と子ども観子どもとは何か、歴史的に子ども観は大きく変遷してきた。子どもが固有の存在として位置づけられていなかった古代中世から、子どもが発見され「児童の世紀」と言われた20世紀、保護される存在から権利主体へと子どもへの認識が変わってきた。子どもの権利保障の歴史をたどり、児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)及び児童福祉との関連を講義する。子どもであった高校生までに、自分は子どもの権利について学んだり意識してきたことがあったか、それはどうしてか、自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第4回子ども家庭福祉の展開 ①
戦前までの歴史
産業革命が進んだ17世紀の英国で、労働者としての救済及び貧困対策として子ども家庭福祉は始まった。欧米、および日本の明治以降、戦前までの歴史を学ぶ。ここに子ども家庭福祉の原点があって、現在の取り組みの基礎がある。先人たちの善意や良心と問題に立ち向かった行動力について講義する。子どもは学校で勉強するということは、歴史的には最近のことである。発展途上国の子どもたちがどのような生活をしているか自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる
第5回子ども家庭福祉の展開 ②
戦後からの子ども家庭福祉法制の整備・改革
戦後の混乱期から高度経済成長期、バブル崩壊からの失われた30年、この間日本の子ども家庭福はどのように変化してきたのかを学ぶ。経済優先で子どもや家庭に予算を割かなかった典型として、80年代にとられた日本型福祉社会政策が21世紀の日本を後進国へと導いている歴史的経緯を講義する。自分の生まれ育った町はどんな産業で成り立っているのか、豊かなのか。知っている町の歴史を振り返って自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第6回子ども家庭福祉の制度 ①
主要な法律
子ども家庭福祉の中核である児童福祉法を中心に児童福祉六法をはじめ関連の法律を学ぶ。必要に迫られて制定された諸法律とその中でも子ども基本法と子ども家庭庁の今後の役割について、講義する。児童福祉法は保育士の成り立たせている基本の法律である。最近の改定について自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第7回子ども家庭福祉の制度 ②
行政と機関、財政
国、都道府県、政令市、市町村は、子ども家庭福祉のそれぞれどのような役割を担っているのか。経済的な裏打ちはどうなっているのかを学ぶ。保育士が働くたくさんの現場は、基本的に児童福祉法を根拠法として運営されている事業所である。その全体の姿をマクロに捉え、実際の運営につながっているのか、講義する。保育所以外に、子どもに関わるサービスや施設は何があるか、保育士が働いている事業所はどこかについて自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第8回子ども家庭福祉の実施機関 ①
児童相談所
子ども家庭庁発足と子ども基本法の制定によって、児童相談所の役割と業務が変更された。虐待等要保護児童の措置を行い、専門的実践機能を担うなかで、アドボカシー等、子どもの最善の利益と意見表明権を重視する姿勢の重要性について、講義する。児相(児童相談所)と聞いて、何を思い浮べるか。住んでいる町の児相はどこにあるか、自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第9回子ども家庭福祉の実施機関 ②
福祉事務所、家庭児童相談室、児童家庭支援センター、こども家庭センター
和6年度こども家庭センターが創設される。要保護児童対策地域協議会をはじめ、児童相談所と連携しながら、市町村の子育て支援の拠点となる。こども家庭センターを中心にして、福祉事務所などがどのような働きをし、連携しながら、様々な問題を抱える子どもや家庭のニーズに応えていくかを講義する。(市区町村)役所に行ったことがあるか、何の用で行ったか。住んでいる町の福祉事務所はどこにあるか、自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第10回子ども家庭福祉の実施機関 ③
保健所(保健センター)、要保護児童対策地域協議会、家庭裁判所
かつて世界に誇れる機関として日本の保健所が紹介された。母子保健の中核である保健所、家庭の困難な問題に対処する要保護児童対策地域協議会、家庭裁判所について解説する。具体的な事例をあげながら、課題問題にそれぞれの機関がどのような役割を担い、活動しているのか講義する。予防接種、健康診断など保健所の役割は理解しやすい。しかし離婚も身近にある。家庭裁判所の役割について自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第11回子ども家庭福祉の施設 ①
児童福祉法に基づく施設は13種類
児童福祉法に基づく施設は13種類ある。それらの類型や種類、目的や運営について学ぶ。特にこども基本法とこども家庭庁の創設で、子どもの最善の利益を保証する権利擁護の対策がより重視されるようになったことを講義する。教科書を読んで、どんな施設があるのか確認する、いままでの自分との関りを振り返り、自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第12回子ども家庭福祉の施設 ②
乳児院・児童養護施設・母子生活支援施設
全国児童相談所への児童虐待の通告件数は20万件を超えて増え続けている。里親委託の伸びは少なく、保護した子どもの生活を確保するためには、乳児院や児童養護施設の存在・役割が改めて見直されている。乳児院・児童養護施設の歴史にさかのぼり、現在の状況や役割の変化、課題について講義する。保育士として実習に行く可能性がある施設として、住む地域にある施設のHPなどを閲覧して自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第13回子ども家庭福祉の施設 ③
児童自立支援施設・児童心理治療施設・自立援助ホーム
子どもの問題に対応するために、家庭で生活できない場合や生活を共にしながらの治療・養育が必要なときに入所する施設について学ぶ。全般に非行は減少しているが、発達特性や虐待・ネグレクトなどの親のマルトリートメントの影響で、学校等に適応できない子どもが増えている。その実態について講義する。カウンセリング等の治療を受けることについて、不登校や発達障がいの例など身近な経験について自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第14回里親制度・子どもの貧困・ひとり親家庭・ 外国籍等の子どものいる家庭への支援ども家庭庁が発足して、地域によっては里親支援センターも活動を始める。子どもや家庭に関する様々な問題やニーズに対応する現在のサービスに加えて、これから新しい支援やサービスを創造していかなければならない。困難な問題を抱える子どもや家庭によりそい、声に耳を傾け、より必要で要望に応える対応ができるマインドとスタンスについて講義する。保育士として、自分の心身の健康と高いパフォーマンスを保つために何が必要か、何が役立つのか、自主学習を行う。特に重要だと感じたこと、講義で強調されたことを振り返って、関連の情報も調べて整理し、ノートにまとめる。
第15回まとめ筆記試験
持ち込み不可
  
授業形式  保育士は、子どもや保護者と密なコミュニケーション求められる職業である。ディスカッション、説明、意見発表、質疑などの、実際に発言し意見交換を行いながら、講義を進める。アンケート作成をとおして自分の考えや意見をまとめ、またデータをとおして他の学生のことも知ることで、自分の考えや意見をしっかりもち、様々な問題に向き合える自立した保育士をめざすように学びを進める。
 オンライン講義時には、オンデマンド形式に対応する。積極的に参加を促すために、講義中に意見を述べてもらい、アンケートを書いてもらう。
評価方法 到達目標(1)(2)(3)について
筆記試験50% 毎回のレポート30% 出席講義参加状況20%で評価する 
テキスト 『新版 よくわかる子ども家庭福祉[第2版]』吉田幸恵 山縣文治 編著 ミネルヴァ書房 2023年
テキストISBN番号 9784623095131
参考文献 『子どもの気持ちを聴くスキル』山口祐二著 ミネルヴァ書房 2014年
オフィスアワー(授業相談) 連絡、質問は必ずTeamsを使ってください。Outlookのアドレスは使わないでください。
学生へのメッセージ 保育士は国家資格です。これから社会から求められるものも多様になります。講義は厳しいです。
発言の機会があります。腹式呼吸を意識し、しっかり通る声を心がけてください。
自分の考えや意見、感想などをまとめ、尋ねられたらいつでも答えられる準備してください。
自分を大切にし、子ども・保護者を尊重できる保育士になってほしいです。
様々な人や機関、団体とつながって、自由自在に活動できる保育士をめざしてください。